ここ最近の日本の国政選挙における投票率は、決して高いとは言えない状況にあります。
直近で言うと、2022年7月に行われた参院選では、投票率は総務省によると52.05%でした。有権者のだいたい2人に1人は投票権を放棄しています。
では、人は一体どういうときに選挙に行こうと思うのでしょうか。
選挙の投票行為がもたらす効用についてまとめられた、ある有名な式があります。この式は、ウィリアム・ライカーと、ピーター・オードシュックというアメリカの政治学者2人によってまとめられました。
- Rは、選挙の投票をすることで自分が得る利益。
- Pは、自分の一票が選挙結果に影響を与える確率。
- Bは、自分が投票した候補者が当選したときに得られる効果と、当選してほしくない候補者が当選したときの効果の差。
- Cは、投票する際にかかる労力や費用。
- Dは、民主主義を重視する気持ちや投票への義務感。
それぞれReward・Possibility・Benefit・Cost・Democratic valueまたはDutyの頭文字が取られています。
有権者が実際に投票しに行くのは、R>0であると自身が判断したからであると考えられます。逆に、投票しに行かないのは、R<0であると判断しているからでしょう。
投票行為を個人レベルで考えた場合、自分が投じられるのは1票だけですから、Pの確率は投票数分の1ということになり、選挙結果にはほとんど影響を与えません。
身の回りに政治や社会の話ができる人がおらず、個人で動く人にとってはPが限りなく0に近いため、P×B部分は実質的に無くなることになります。なので、残ったCとDの大小関係によって、投票するかしないかが決定されている可能性が高いです。
次に、いわゆる組織票の場合ですが、投票先を指定されている集団は、その構成人数が多ければ多いほどP×B部分は活きてくることになります。
この式を元に考えてみると、投票行動がもたらす利益には、個人で動く人と組織に属して動く人の間に圧倒的な差があると言わざるを得ません。式の右辺にP×Bがあるのとないのとでは大違いです。
家族や友人と時には政治の話もしてみて、意見が一致するようであれば、一緒に投票所に行ってみることが大切だと思います。
そして、引き続き民主主義の理解を深める教育と、正確な投票がより簡単に行える仕組みづくりを進めていくことも必要でしょう。
やはりこれからは、インターネットを介して投票できるようにすることは必須課題です。
ネット投票は、今の政権与党にとってはリスクでしかないでしょうが、マイナンバーカードによるデジタル上の本人確認手段も半ば強引につくったことですし、実現に向かっていってほしいものです。