今回は、相手の問題解決力をはかる目的で使われる、ある有名な練習問題を紹介します。もし余裕があれば、下の問題を読んで自分なりの解答を考えてみてください。
あなたは、ある10階建てのビルのオーナーです。そのビルにはエレベーターが1基しか設置されておらず、さらには旧型なので移動速度も遅いです。そのためボタンを押してもエレベーターはなかなか来ず、利用者はいつもイライラしています。このような状況下において対策を求められた場合、あなたなら一体どう対応しますか?
まず「エレベーターの数を増やす」という答えは、あまりよろしくありません。かかる費用と時間の面をあまりにも無視していますし、何より誰でもすぐに思いつく答えだからです。
では他には
- エレベーターを最新型にして輸送効率をアップさせる。
- 階段通路部分の照明をより明るくして雰囲気を変化させたり、健康を謳うポスターなどによって階段の積極的な利用を促す。
- 家賃を下げる。
などなど、いろいろと考えられますが模範的な解答としては「エレベーター前の空間に鏡を設置する」であるといわれています。
エレベーターを待っている間、強制的に自分の姿を見せられると多くの人は身だしなみを整えたり、体型やファッション、自分の健康面についてなど思いをめぐらせます。そのような思考をさせて、待ち時間が苦に感じないよう仕向けます。
また、イライラしてくると表情や挙動に表れてくるので、それを客観視させることにもなります。そうして利用者のイライラ度合いを緩和させる、というのがこの解答の狙いです。
ついでにいうと背後を確認できるようになるので、防犯の効果も期待できます。
多くの人はこの問題を聞くと、まず「エレベーターの待ち時間の長さ」に問題があると考えます。そしてその「待ち時間を短くする」という発想から、なかなか抜け出すことができません。
しかし、問題の本質は時間の「長さ」ではなく「質」にあるのかもしれません。長さの改善には大きなコストがかかることは避けられないので、まずは質の改善から着手し、利用者の反応をうかがいながら対応していくのが賢明であるといえます。
このような問題はエレベーターだけに限らず、街中などでも起きています。待ち時間の長さを短縮すべく、処理を急がせミスが起きやすい状態になっていたり、待たせている間ずっと居心地悪く感じさせてしまっていたり。
コーヒーチェーン店世界最大手のスターバックスは、やはりその点さすがです。待ち列が発生すると、並んでいるお客さんに声かけをして見やすいメニューを手渡していきます。
スタバの商品はオシャレなものが多いのでメニューを見ているだけでもいい暇つぶしになりますし、待っている人にも声かけをすることによって「存在を認知してもらえている」という安心感を与えます。
人と待ち合わせをするときなんかは、何もない場所よりも本屋や雑貨屋などにするのがオススメです。万が一遅刻してしまっても相手に与えるストレスを減らすことができます。
問題の原因を取っ払うことが一番なのは当たり前ですが、現実はいつもそう上手くいくものではありません。かといって問題を放置するのもいけません。
原因の解決に大きなコストを要するのであれば、柔軟な思考で自分の課題を再定義してみるのが大切だと思います。