社会を歩みやすくする、人と人との対話術

社会を歩みやすくする、人と人との対話術

会話よりも対話の姿勢を持つ

人間関係は、対話を通して展開していきます。対話がきちんと成立しなければ、良好な人間関係も成立しようがありません。

まだ打ち解けられていない相手と心のこもった対話を行うためには、まず精神的に相手を絶対に脅かさず、相手が安心感と自尊心を高められるよう配慮することが大切です。

相手の興味関心がある物事を理解しようとする姿勢、また、その知識や魅力を自分にも共有させてほしいとする態度は、相手を元気にさせます。反対に、その人の興味関心とは無関係なことを押し付けようとすると関係性は悪化していくでしょう。

相手の興味ある物事を話題にするということは、相手が自分に合わせるのではなく、自分が相手に合わせている状態です。当然、話の主導権は相手が持つことになるので、正直自分はあまり楽しくないと思います。

話の主導権を取りたがる人は多いですが、たくさんの人から信頼を集める人格者は、その主導権を自ら手放せる勇気と懐の深さを備えます。

共感の気持ちは相手を認める証

精神的に疲弊している相手の弱音や自虐的な発言を聞く際は、もっとも注意が必要です。

「自分のことなど誰も心配してくれない」
「もうこの先やっていく自信がない」

このような発言を聞くと、聞き手側からは勇気づけの意図もあったりして

「そんなことないよ」
「大丈夫だよ。なんとかなるよ」

と、つい慰めの言葉をかけたくなりますが、これは相手の考えに対する否定、つまり立派な反論にもなり得ます。相手の言葉を否定してしまうと「自分の嘆きでさえも受け入れてもらえない」、「寄り添ってはくれない」と、さらに絶望的な気分にさせてしまいかねません。

精神的に追い詰められている人には、まず精一杯の共感を向けることです。人間はみな、自分の感じているつらさを誰かに分かってもらいたいのだから。

夫婦間や同居している家族など、家庭内でのたわいもない会話に対しての否定も要注意です。同居家族との共通の目的、一緒に暮らしている理由を思い出してみてください。助け合いの精神のもと、日々の生活を長く豊かに送っていくためであるはずです。

たとえ話の内容が間違っていたとしても、相手が気持ち良く喋っていて、この共通の目的に直接支障を与えないのであれば、笑顔で同調してあげるのがもっとも平和的で最終的に一番各々の利になります。

相手を不快な気持ちにさせてまで正さなければいけない瞬間など、仕事の現場で顧客からの信用に直接関わるような場面だけで十分です。

対話の技法

対話の際の重要な技法として「傾聴と共感」、「興味関心の共有」、「主体性の尊重」、「肯定的な反応」の4つがあげられます。

「傾聴と共感」は、耳を傾け同意することによって、自分はあなたの敵ではないと示す行為です。

「興味関心の共有」は、自分から相手を知ろうとし、あなたに寄り添って理解する気があるという意思表示です。

「主体性の尊重」をすることで、近づこうとはしているが、プライベートなエリアまでは決して踏み込まないよう配慮していることを相手に分かってもらいます。

「肯定的な反応」によって相手に自信とパワーを与え、良い方向へと導きます。逆に、否定的な反応を続けてしまうと相手のやる気とパフォーマンスは低下していきます。

信じる気持ちがもたらす大きな効果

人は自分の持つ能力を周囲の人間から信じて頼りにしてもらえると、その能力をアップさせていく傾向にあることが分かっており、これは「ピグマリオン効果」と呼ばれます。

小学生を対象に行ったある実験では、過去の成績は考慮せず無作為に生徒を選び出し、その生徒の担当教師に「検査の結果この子は将来有望であることが分かった」と伝えて信じ込ませます。そして、1年後にその生徒たちを調べてみると、以前より成績が伸びていることが確認されました。

また、無作為に選んだアルコール依存症の患者に「あなたは回復する可能性が極めて高い」と伝え、経過を分析するという実験では、その選ばれた患者たちは実際に治療への積極性が高まり、1年後には社会的立場も良好な状態へと戻りました。

明るい未来の実現確率は、本人とその周りの者たちが信じることによって大幅に上がるようです。人を信じるということは、それだけ大きな可能性を秘めていることなのでしょう。

教職に就く方や部下を持つ上司など、人を指導し育てる役割を担っている者にとって本来もっとも大切なことは、指導する相手の可能性を誰よりも信じてあげる気持ちなのかもしれません。

信じるどころか相手の主体性も認めず終始疑ってかかり、話題やアイデアを出されてもまず否定から入り威圧するような人は、その状態のままでは誰かの上に立つような存在とは言いにくいです。早急な改善が望まれます。

参考文献

『人を動かす対話術 心の奇跡はなぜ起きるのか』岡田尊司(PHP研究所)

Kenta

1992年生まれ、兵庫県在住。本業は個人事業主で、小規模団体の会計請負事業をやっています。ニュースや書籍を読むことが大好きなので、それらで得られた生き方に役立つであろう情報を皆さんとシェアできればと思います。

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