近年、官僚の定年延長が進められています。内閣官房の資料によると、2023年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げられ、2031年度には65歳になる予定です。2025年度現在の定年は62歳であり、再任用制度を活用すれば65歳まで働くことも可能です。
また、定年延長に伴い、60歳以降の給与は従前の約7割水準となり、役職定年制も導入されています。これにより、引き続き勤務する場合でも従来の役職から外れ、より限定的な業務に従事する形となります。
一方、民間企業においても同様の流れが見られます。2025年4月以降、企業には希望者全員に対し、65歳までの雇用確保が義務付けられました。そのため、民間も実質的に65歳定年の時代に入ったと言えるでしょう。
官僚の現在置かれている状況は、実は厳しいものがあるようです。労働時間は非常に長く、同じ難関大学出身の民間企業勤務の同級生と比べて給与水準も低いのが現状です。最近では、東大をはじめとする一流大学の成績上位層が官僚ではなく外資系コンサルティングファームや金融機関を選ぶケースが一般化しています。
このような状況が続くことで、官僚という職業の魅力は大きく低下し、結果として優秀な人材が政策立案の現場から離れていくリスクが高まります。優秀な頭脳が民間や海外に流出すれば、日本の政策力や競争力は低下し、国際社会の中で徐々に存在感を失います。
これは短期的な問題にとどまらず、長期的には国益を著しく損なう重大な懸念事項と言えるでしょう。このような背景から、天下りについても再考する必要があるように思います。
天下りは、学生時代に勉強に勤しみ、国家のために尽くした官僚に対する一種のご褒美や、クッションの役割を担ってきた実情もあります。過酷な勤務と引き換えに、退職後に比較的穏やかなポジションを得るという構図です。
とはいえ、天下りには様々な大きな問題があることも事実です。受け入れ先が実質的に元官僚のためだけに存在するケースや、実務を伴わない高額報酬、数回にわたる天下り(数珠つなぎ)などが典型例です。
受け入れ企業にとっては、元官僚が在籍することで省庁とのパイプ役としての価値が期待されるため、実務以上の権力を持つ場合もあります。
最近は、世論や不景気も相まって、天下りの受け入れ先が減少し、希望してもポストが見つからない「天下り難民」も増えているようです。加えて、斡旋は省庁内の人事部門やOB会が中心となり、派閥や人脈によって決まるケースが一般的です。企業側も断ると関係が悪化する可能性があるため、消極的に受け入れる場合が多いのが現状です。
このように、天下りは批判される一方で、官僚の過酷な勤務環境と今後の人材流出リスクを考えると、完全否定するのも現実的ではありません。
今後は天下りそのものの是非だけでなく、官僚制度全体の改革や働き方の見直し、そして国の将来を見据えた優秀な人材確保策について、より深い議論が求められるでしょう。