日光が降り注ぐ真夏のこの時期は、紫外線対策が特に重要です。今回は、皮膚科専門医の知見をもとに、紫外線対策の必要性と実践方法を見ていきたいと思います。
紫外線対策をすべき理由
紫外線が肌に与えるダメージは、一般的に想像されているよりもはるかに深刻です。紫外線を浴びることでDNAに損傷が生じ、その修復が間に合わない場合、皮膚がんのリスクが高まります。外見上の問題にとどまらず、長期間にわたり紫外線を浴び続けることは、最終的に光発がんによる皮膚がんを引き起こす可能性もあります。
目においても、角膜の炎症、白内障、加齢黄斑変性といった深刻な疾患のリスクが高まります。かつての日本では皮膚がんが発生する前に寿命を迎えることが多かったと思いますが、人生100年時代を迎えた現代では、紫外線によるダメージを受けた肌と長く向き合っていく必要があります。
男性こそ意識すべき紫外線対策の重要性
男性が紫外線対策に取り組むべき理由は何でしょうか。見た目の問題だけでなく、男性だからといって紫外線に対して特別に強いわけではありません。
男性は皮膚が厚く、皮脂が多いから丈夫だという印象を持つ方が多いと思いますが、これは主に筋肉量や骨格からくるイメージです。実際の皮膚の厚さには、男女間で大きな差はほとんどありません。むしろ、日常的な髭剃りによって肌のバリア機能が損なわれやすかったり、保湿ケアが不足しがちであったりするため、統計的には男性の方が紫外線に弱いという研究結果も存在します。
たとえば、ある論文では、紫外線B波(UVB)をどれだけ浴びると皮膚に赤みが生じるかを示す「最小紅斑量」を調べた結果、男性のほうがより少ない紫外線量で赤くなる、つまり「紫外線に弱い」傾向が示されています。
スポーツをする男性の中には、健康的に日焼けした肌を「かっこいい」と感じる方も多くいらっしゃると思いますが、日焼けはなるべく避けるのが無難です。また、健康的な児童として日に焼けた子を連想することがありますが、これは「健康であるから屋外で活発に活動し、結果として肌が黒くなる」という因果関係です。
皮膚科医の観点から見れば、素肌を紫外線に晒す行為が、皮膚にとって不健康な状態を招くことは間違いないようです。
紫外線量のピークと日々の対策の必要性
多くの方は、気温が高く蒸し暑い真夏にのみ紫外線対策が必要だと考えがちですが、実際には紫外線のピークはそれよりも早く訪れます。
春先にはすでに9月とほぼ同等の紫外線量となり、6月には相当な量が降り注ぎます。月ごとの総紫外線量が6月にやや低くなるのは、主に降水量が多いことが関係していると考えられます。
梅雨の晴れ間には、道がまぶしく感じられ、木々の緑が鮮やかに見えることがあります。これは光の量が増えていることを示しており、紫外線も強くなっている可能性が高いです。したがって、晴れ間は紫外線対策を特に意識するタイミングと言えます。
気温が低くても、3月頃から紫外線量は徐々に増加するため、気づかないうちに日焼けしてしまうケースは、夏本番よりも早い時期に多く見られます。
紫外線対策は、雨の日や曇りの日であっても欠かせません。というのも、紫外線は365日、年中無休で地上に降り注いでおり、たとえ雨の日でも晴天時の約30%、薄曇りの日であれば約80%もの紫外線が到達しているからです。
上手に紫外線対策をする実践方法
それでは、効果的に紫外線対策を行うにはどうすれば良いでしょうか。
一日の中で最も紫外線が強い時間帯は、正午を挟んだ前後2時間、つまり10時から14時です。この時間帯は紫外線量が特に多くなるため、可能であれば外出を控えたり、日陰を利用したり、紫外線対策をより徹底することが推奨されます。
汗をかいた場合は、2時間に1回を目安に日焼け止めを塗り直すことが非常に大切です。
これまでに浴びた紫外線の総量によって肌の状態は変化しますが、多くの人は20歳になるまでに、将来的にシワの原因となる紫外線量をすでに浴びていると言われています。
ですが、諦める必要はありません。皮膚には自己再生能力があります。日々のケアとして、優しく洗顔し、しっかりと保湿を行い、日焼け止めを薄くても良いので毎日塗る習慣をつけるだけで、肌の状態は大きく改善されます。
過去に受けたダメージを完全に消し去ることはできませんが、今後の肌の老化を加速させないための対策は十分にできます。
日焼け止めの選び方と正しい使い方
紫外線から肌を守る効果が最も高いのは、やはり直接肌に塗るタイプの日焼け止めです。近年開発されている高機能な製品は非常に効果的であるため、基本的には塗布するタイプを選ぶのが良いでしょう。
日焼け止めの基本的な塗布方法は「二度塗り」です。一度に厚く塗るのではなく、薄く均一に塗って乾燥させ、その上から再度薄く重ね塗りをすることがポイントです。まるで板金塗装のように、薄い層を重ねていくイメージです。
SPFとPAの理解
SPFは「Sun Protection Factor」の略称で、主に波長の短いUVB紫外線から肌をどれだけ保護できるかを示す数値です。SPF1は、肌に赤みが生じ始めるまでの時間を基準としており、個人差はありますが、おおよそ20分とされています。たとえば、SPF5の日焼け止めを使用した場合、通常20分で日焼けする肌が約100分間保護される計算になります。
PAは「Protection Grade of UVA(PA値)」の略称で、波長の長いUVA紫外線に対する防御効果を表します。UVAは肌の深層部である真皮にまで到達し、シワやたるみの主な原因となります。PA値は「+」の数で示され、+から++++までの4段階があり、++++が最も高い防御効果を持つことを意味します。
日焼け止め以外の紫外線対策
紫外線防御効果が高いのは日焼け止めですが、さらに効果的なのは日焼け止めを塗布した上で、帽子、日傘、適切な衣類などを併用することです。
帽子だけでは、地面からの反射光や影になっていない部分からの紫外線は防ぎきれません。日焼け止めを塗らずにサングラスと帽子だけで大丈夫、という認識は誤りです。常に日焼け止めを基本とし、それに加えて他の紫外線対策を組み合わせることが重要です。
サングラスの選び方
紫外線から目を守るサングラスを選ぶ際、レンズの色の濃さは紫外線カット機能の高さに直結するわけではありません。色が薄いレンズであっても、紫外線カット機能が備わっていれば十分に効果を発揮します。
かつてのサングラスは光量を遮るために濃い色が必要でしたが、現在の製品は薄い色でも有害な紫外線を適切にカットする技術が採用されています。むしろ、黒すぎるレンズは目が夜と認識して瞳孔が開いてしまい、かえって太陽光が入りやすくなるという問題が生じることもあります。
現在市販されているサングラスは、どのレンズの色を選んだとしても、紫外線カット機能が備わっていることを確認すれば問題ありません。
紫外線対策は「自己投資」
日焼け止めを使用して紫外線から肌を保護することは、運動パフォーマンスの向上や疲労回復の度合いに良い影響を与える、と複数の研究によって示されています。
日焼けすると免疫が低下し、疲れやすくなり、病気にもかかりやすくなります。そのため、パフォーマンスを向上させたい、あるいは疲れにくい体を目指したいといった目的においても、紫外線対策は非常に有効な手段です。
紫外線対策を始めるのに遅すぎるということはありません。人生100年時代と言われる現代において、40歳や50歳であっても、まだ人生の半分以上が残されています。若いうちから紫外線対策を継続している人とそうでない人とでは、比較的早い段階から肌の質感や弾力に顕著な差が現れることが知られています。
紫外線対策は単なる美容習慣としてでなく、長期的な健康維持や自身の能力を最大限に引き出すための「自己投資」と位置づけることができますので、一緒に頑張っていきましょう。