安倍元総理暗殺事件の根底にあった「マインドコントロール」による被害

マインドコントロール

2022年7月8日、元総理大臣である安倍晋三氏が、奈良県奈良市で選挙の応援演説中に銃撃され死亡するという歴史的大事件が起きました。

実行犯は、犯行当時41歳で奈良市の集合住宅に住む「山上徹也(やまがみてつや)」という男。この男の父親は、男が4歳のときに飛び降り自殺をしており、母親は旧統一教会の熱心な信者で、宗教団体に捧げた金額は総額1億円にも上るといわれています。

政治と宗教と組織票

日本でも政治と宗教は密接な関係を持っています。代表的な例としては、やはり連立政権として自民党と手を組む、公明党と創価学会の関係です。創価学会員は選挙時、時の情勢に関係なく公明党への投票が推奨され、身近な人間への宣伝も求められる立場にあります。創価学会の公式サイトによると会員数は国内だけで827万世帯存在するそうです。

今回の事件を受けて様々な調査がなされ、多くの自民党所属議員には旧統一教会との間に深い関係があることが発覚しました。いわゆる組織票と呼ばれるものですが、民主主義国家においてこの効力は絶大です。選挙の際、時間をかけてたくさん政党のことを勉強して「この政党だ!」と思って自分の一票を投じても、その自国の未来を想う気持ちは、情勢を俯瞰的に考え投じられているわけではない組織票によっていともたやすくひっくり返されます。

マインドコントロール

新興宗教について考えるとき、切っても切り離せないものとして「マインドコントロール」があります。マインドコントロールの恐ろしい点は、強制的手法が用いられないので、自分が狙われていることやその影響下にあることに気付けず、いつの間にか陶酔しきってしまうところにあります。

霊感商法とその手口

この安倍元総理暗殺事件をきっかけに、昔世間を騒がせた「霊感商法」という言葉が、再度メディアで多く取り上げられるようになりました。霊感商法という手法が日本で本格的に使われるようになったのは1978年頃からといわれており、その後、社会問題化していきます。

その手口は、霊的・精神的な理由をつけて相手の不安を煽り、それを解決させるための方法として壺や印鑑、開運グッズなどを高額で売りつけるというものです。みなさんご存知のこの手口ですが「こんな手法に引っかかるわけがない」とほとんどの人は思うことでしょう。たしかに多くの人は大丈夫だと思いますが、勧誘者はこの手口を実行する前にある事前準備を行い、それをもって落とせる相手かそうでないかを見極めます。

事前準備として、ありがちな例を紹介します。

  1. まず当たり障りのない話題で表面的な関係を築き上げます。
  2. 次に手相占いや姓名判断を行い、それを通して相手の悩みや願望、コンプレックスなどの個人的な情報を聞き出します。
  3. 基本的には傾聴の姿勢に徹し、相手を褒めて勇気づけ、心理カウンセラーのように接します。
  4. こうした作業を複数回重ね、相手の信頼を得た後、これまでに手に入れた情報から相手の精神的に最も弱い部分を洗い出し、最後にそこを叩きます。

このそれぞれの行動の裏には、明確な意図があります。

手相占いと姓名判断の心理的効果

まず手相を見せてもらうという行為には、相手と違和感なくスキンシップを行う、という目的があります。了解を得ずに強引に行われない限り、スキンシップには相手との心の距離をグッと縮める効果があるためです。日本人にとって、初対面や親しくない人と握手などのスキンシップを行うことは、まだまだ一般的ではありません。その障壁をいともたやすく、そしてなにより自然にかいくぐれるのが手相占いというわけです。

次に姓名判断ですが、人間は誰しも自分の存在を認められたがっています。みなさんも心当たりがあると思います。自分にとって名前というものは、いわば一番分かりやすいアイデンティティです。姓名判断ではそれが話題の主軸となるわけですから、相手の自尊心を手っ取り早く満たすことができます。また、自分の名前を他人に複数回、口に出されることになるので、それも気を許してしまう要因の一つとなります。自分の名前は基本的に耳触りの良い音に感じるものです。

これらのことをあまり親しくない人にもやらせてあげる人というのは、警戒心もそれほど強くなく、さらには相手の要求に応じやすい傾向のある人といえます。そのような人が対話を通して相手に個人的な弱みをどんどん握られていき、そしてある程度まで話が進んでしまうと途中でNOと言うことは難しいものになるでしょう。

依存性パーソナリティ

マインドコントロールの影響を最も受けやすいタイプとして「依存性パーソナリティ」というのがあります。依存性パーソナリティとは、主体性がなく、周囲の人間に対して過度な配慮をし続けてしまうタイプの人のことを指します。

こういったタイプの人は自分に自信が持てず、他の誰かに経済面や精神面で依存しやすい傾向にあるといわれています。このタイプは裏を返せば協調性があり、他人にも嫌われにくくとても日本企業向きといえるので、職場などの人間関係では大きな問題は抱えにくいでしょう。

相手を誘導する技術「ダブルバインド」

相手を自分の都合のいいほうへ誘導するために使われる技術の1つに「ダブルバインド」というテクニックが存在します。ダブルバインドは、相手に何かさせたいことがあるとき、相手がするかしないか迷っているならば、それをおこなった前提の選択肢を相手に投げかけるというもの。お客さんの思考が商品購入後の状態になるように質問を投げかけ想像させ、誘導するのです。

たとえば、お店で商品の購入を迷っているお客さんがいるとします。店員としては「色はどれになさいますか?」や「このオプションはお付けしますか?」など、まるでお客さんが購入を決めたかのように上手に話を展開させていくと、購入される確率が高まります。最初に接するときの雰囲気がなにより大切ですが。

洗脳

マインドコントロールの行き着く先が洗脳になることも珍しくありません。マインドコントロールと洗脳の主な違いは、強制的であるかどうかです。洗脳の段階に入ると、暴力と激しい言葉を用いて精神的に追い込み、さらには周りの環境を意図的に変化させられるといったことが起き始めます。洗脳の基本は、対象者を外の世界から遠ざけ、外部の人間となるべく接触させないようにすること。そうして情報の入力を極端に不足させ、また、偏らせるのです。

次に、肉体的にきつく内容が単純な作業に、修行や仕事と称して長時間従事させます。その上で徐々に睡眠時間を短くさせて脳が慢性的な疲労状態になるよう仕向け、複雑かつ主体的に物事を考える能力を奪っていくのです。

この手法は、カルト教団や独裁政権が集団を自分たちの都合のいいように作り変える際、歴史的によく使われてきました。私たちが人生を進める上で注意しなければならないことは、会社のような一般的な組織であっても一つ間違うと危ないことになる、ということです。

日本では、長時間労働と自殺率の高さがもうずっと社会問題となっています。健康な精神状態にある人からすると、過労自殺するくらいなら会社を辞めればいいのに、と思うかもしれません。しかし、家と職場を往復するだけの生活・長時間労働・睡眠不足・上司からのパワハラ・職場内での人間関係の希薄化などの条件が揃ってしまうと、脳は適切な判断が徐々にできなくなってしまいます。

この条件というのが、まさに洗脳の際に用いられる基本事項と一致します。

自分の可能性を信じる

まだまだ無限の可能性があるにもかかわらず、自分で自分の世界を狭めてしまい、ここを辞めるともう他に行き場所はない、生きていけないと思い込んでしまうのでしょう。人間は思い込んでしまったらたとえ間違っていることであったとしても、その人の世界の中では真実となります。

どれだけ年齢を重ねていても、誇れるものが何もなくても、生きている限り浮かび上がれる可能性はいくらでもあり、全ては自分の認知次第であることだけは忘れないようにしたいものです。

参考文献

『マインド・コントロール 増補改訂版』岡田尊司(文藝春秋)

Kenta

1992年生まれ、兵庫県在住。本業は個人事業主で、小規模団体の会計請負事業をやっています。ニュースや書籍を読むことが大好きなので、それらで得られた生き方に役立つであろう情報を皆さんとシェアできればと思います。

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